2月13日(金) 12:30~14:00
山積する課題、社内のムードも停滞気味。そのときリーダーはどうすべきか?
自ら戦略を立て変革の先頭に立ち社員を鼓舞するというのが中小企業のセオリーであろうが、社員一人ひとりの話しを聞き、社員の気持ちに寄り添いながら対話をベースに改革を進めた文方社の事例を紹介する。遠回りのようで、社内改革と新事業開発を同時に手にしつつある。
変革のプロセスで転機となった取り組みを掘り下げながら、キヅキウムの坂口氏と共に他社で取り入れられるような再現ポイントを整理する。
現副社長である鶴見悠子氏が入社したのはコロナ禍只中の2020年春。
会社の状況は厳しいと聞いていたが、社員と顔を合わす機会も限られるなか、わからないことが多かった。
そこで、現状把握のために全社員との個人面談を行った。
それまでは、トップダウンのスタイルで経営陣から社員へのほぼ一方通行のコミュニケーションであり、社員の声を聞くという機会はほとんどなかった。また「仕事も情報も個人で完結する」状態が長年にわたり続いていて、横の連携が乏しく、ともすると排他的な傾向にあった。
ヒアリングでは、会社への愚痴や不満も多かったが、最も印象に残っている社員の言葉は「話しを聞くのは自由だけど、聞いてしまったら社員は期待してしまいます。期待に応えるようなことが本当にできるんですか?」と逆に問われたことだ。
会社には何を言ってもムダと閉じてしまっている社員の心のドアを1度開かないといけないと感じた。
逆に社員全員に通じる良さとして「責任感の強さ」を感じた。製造は「“自分”の仕事と技術に対して」、営業は「“自分”の担当顧客に対して」である。
「個」としての責任感の強さが許容範囲の狭さや排他性につながってしまっているので、責任感の発揮の仕方を変えていこうと考えた。
そのために、会社の(経営と社員の、社員間や部署間の)ベクトルを揃えていく必要があり、その第一歩として、私たちはどんな会社にしたいのか? 文方社は何をする会社なのか? を考え直し、経営計画として全社員に発表するところから始めた。
改革を実行するにあたっては抵抗する社員もあらわれたが、説得して相手を変えようとはしなかった。無理強いしてもかえって対立を深めるだけだからだ。まずは相手を理解することに努めた。
本セッション講師の坂口雄人氏曰く、このようなリーダーシップは、サーバントリーダーシップといえる。リーダーがトップに立ち、力で部下を動かすのではなく、傾聴や共感をベースに対話を通じて合意を得ていくリーダーシップの形である。
以下のようなときに有効であるとされている。
1.知識労働のチームであるとき
言われたことをやる作業色の強い仕事ではなく、クリエイティブな力、専門性を発揮する業務特性があるときに、そのメンバーの力を発揮する上で特に有効に機能するとされている。
2.変化が激しく、正解がわからない経営状況にあるとき
まさに業界が変わろうとしているとき、既存事業が行き詰っているときは経営陣に最適な答えが見えていないケースがある。その場合、経営陣もアンラーンしなければならないし、現場起点で未来を創造する必要がある。
3.離職率が高かったり、エンゲージメントが低かったりするとき
トップダウンは主体性をそぎ、エンゲージメントを低下させる。自己決定感や有能感を高めることでエンゲージメントを高め、本来持っている個々人のパフォーマンスを引き出すことができる。
本事例は、まさに今の経営環境がおかれている状況にマッチしているのではないでしょうか。
”正解”は各社それぞれですが、必ずや共感と気づきが得られると思います。


